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話題性や流行に流されつつ、
基本的には詠みたい本を読んで、
それに関する感想を好き勝手書いています。
不快な表現があればそこはご容赦を。
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日本のみなさんさようなら
日本のみなさんさようならの表紙
posted with ALM
著者:リリー・フランキー
文藝春秋 (2002/03)


おや、これ、Amazonで表紙のイメージが出ないのだけれど、なぜかしら??
まあいいや。いやー、リリー節炸裂!!この本を説明するにあたって、冒頭に小説風に書いてある「長一郎と良子」がすでに良い(笑)
リリー・フランキーの邦画感想なんだけど、これが痛快。今でこそ日本の映画も脚光を浴びてヒットもしているけれど、リリーさんがこの連載をぴあで行っていた頃は、邦画なんてほとんど注目されていなかったはず。その時期に、「日本の映画が好きだ」と徹底して日本映画を取り上げた彼には感服するね。
そして時々、いや、しょっちゅう映画の内容と全く関係のないことが書かれていてそれも楽しい。あまりに直球な感想は、「あ、みんなが思ってたのに、今まで言わなかったことを…」と読んでいるこっちまではらはらしてしまう。でもそれが痛快。特に「ドラえもん」シリーズに対する感想は大納得。「彼(←ドラえもんのこと)の行動に対し“意味”を見つけ出して吹聴することはハットリ君の次に謙虚な彼に対する無礼である。スターは常に無意味がいい」「彼は啓蒙化ではなく、最高に愉快な猫なのだから」。
私が普段感じていたことを、それでもそれがはっきり言葉にできなくてもやもやしていたことをこうもズバっと言い当ててくれるともう快感だね。自分の感性にブレが無い。リリーさんは格好良い。
そして彼は、おでんくんみたいな絵がイメージにありすぎて見失いがちだが、実は非常に絵が上手い。本当に上手い。ダテに美大出てないね。失礼な話ですが、ほとほと感心してしまったので。こんな上手な絵を描けるのに、普段はそれを出さないところもすごいと思うよ。
| リリー・フランキー | 00:47 | comments(15) | trackbacks(82) |
死神の精度
死神の精度の表紙
posted with ALM
著者:伊坂 幸太郎
文藝春秋 (2005/06/28)


これは良い!!! ものすごく良い!!!!
音楽を愛する死神が、選出された人間を調査し、その人間が死ぬのを「可」とするか「見送り」とするか。そういった形式の連作短編なんだけど、これがすごく上手いのだ。
何が上手いって……あ、言えない。ああ、言えない。言えばネタバレになる。
だけど、死神が「可」を下した翌日に、その人間は病気以外の何らかの形で死ぬのだけど、その設定を生かした話があってこれが「なるほど!」と思わせられる。
ほのぼのした話あり、切ない話あり、本格探偵小説風な話あり(笑)、いろいろな趣向で楽しませることができるのもこの設定の上手なところだ。
しかし『旅路を死神』はなんだか切なくなる話だった。死神と一緒に旅をする若者は、いかにもステレオタイプな「イマドキの子」なんだけど、どーーーーもやりきれない気持ちにさせられる。だんだんかわいそうになってくるんだよね。どうして彼がそんな行動を起こさなければならなかったのか。やり直しはできなかったのか。最初は読者は軽率な彼に対して抵抗に似た意識を持つのだけど、それを自然と切ない感情に持っていかせる筆致はさすが。そしてこのストーリーには、あの作品の“彼”が登場して楽しませてくれる。それもファンには嬉しい。
『死神対老女』コレも良かった。真相がわかったときの気持ち良さ! これは秀逸。最後を締めるには非常に素敵なお話。そしてなぜか清清しさすら感じるラスト。これは素敵。上手い。ハードカバーで買っても全然損じゃないよ。
| 伊坂幸太郎 | 00:30 | comments(1) | trackbacks(0) |
終末のフール
終末のフールの表紙
posted with ALM
著者:伊坂 幸太郎
集英社 (2006/03)


うん、面白かった。八年後に隕石が地球に衝突する。それが発表され、世界中大パニックになり、その世界滅亡まであと3年というときになって世の中はだんだん落ち着いてきた。「小康状態」になったんだな、という表現が上手い。
残された時間をどう生きていくか。そういった一般の人々にスポットを当てた秀作ではある。「アルマゲドン」や「ディープ・インパクト」より、こういった市井の人々の姿を書くっていうのは共感できるし読みやすいんだけど。
やっぱ他の伊坂作品のような強烈なインパクトや著者ならではの上手さってのが感じられなくてちょっと物足りない。でも、ま、これは私の贅沢かな。筆者の力量が高いだけに、そう思ってしまう。平均値がものすごく高いだけの話で、つまらないわけじゃないのよねー(何だこの口調)。
でも自分がもしこの世界下にいたら……どうだろう。
こんな淡々とした生活は送れない、な。
| 伊坂幸太郎 | 00:21 | comments(0) | trackbacks(0) |
チルドレン
チルドレン (講談社文庫 (い111-1))の表紙
posted with ALM
著者:伊坂 幸太郎
講談社 (2007/05/15)


評価が低くなりようがないね、この人の作品は。
連作短編という形なのだけれど、これがすごく上手い。わざと(たぶん)時系列をずらし、その間に何があったのか、どんなエピソードが存在したのかを読者に想像させる。そして読み進めていくうちに、それぞれの登場人物たちの関係や経過も見えてきて、もー本当にお上手!!
で、憎めない変人家庭裁判官の陣内が主人公なのだけれど、彼ねぇ。うん、良いのよ確かに。でもなー、私、こういう人近くにいたらあかんかも。仲良くなれない気がする(笑)。だから、一緒に遊ぶよりはこうした読者の視点として眺めていたいタイプなわけです。で、たぶん著者もそれを計算して書いてると思うんだよね。だって陣内以外の登場人物のほとんどが、彼に対して否定的な感情を隠し切れていない。だけど、みんななんだかんだ言って陣内が好き。彼の価値観が好きなわけです。
冒頭の銀行強盗の話は素晴らしい。「なるほど!」と思わされる。
それから家庭裁判官になった陣内が飲み屋で酔っ払いに切る啖呵も非常に素敵。読んでいて気持ち良い。
読者にこうやってちゃんとカタルシスを与えるところが、伊坂作品の素晴らしいところだ。
| 伊坂幸太郎 | 19:06 | comments(0) | trackbacks(0) |
夜は短し歩けよ乙女
夜は短し歩けよ乙女の表紙
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著者:森見 登美彦
角川書店 (2006/11/29)


完全にジャケ買い。この本、ジャケットだけで値段の半分の価値はあるね。

でも、読んでる途中は少々混乱させられた。
「面白いの? 面白くないの? よくわかんない」というのが正直な感想だったからだ。名前の無い「黒髪の乙女」とその「先輩」。この二人が主人公で、視点が切り替わりながら物語が進行する。京都が舞台で四季の移り変わりと共に物語が綴られるのだけれど、時々話がものっすごくファンタジスティックになり「何だ何だ?」と置いていかれそうになる。
でもね、読み終わってみると不思議なもので、「あ、面白かったかも」って思うのだ。
特に「黒髪の乙女」に思いを寄せる「先輩」が、最後に喫茶店で乙女を待つ場面。乙女が喫茶店に入ってきて、先輩を見つける場面。ここが良かった。ここの描写が何か素敵で、読後「すごい楽しい夢見てたかも」って気にさせられた。夢って荒唐無稽で無茶苦茶で、でもそれなりに筋が通っていて。なんだかその感覚に似ているのだなあ。

でも読むときのテンションによって評価が割れそうな作品ではある。
明日読んだら「傑作」かもしれない。でも明後日読んだら「つまらない作品」かもしれない。安定した評価がつけづらい。でもそういう本も、あって良いと思う。もちろん自分にとって。
| 森見登美彦 | 00:33 | comments(3) | trackbacks(0) |
白いへび眠る島
白いへび眠る島の表紙
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著者:三浦 しをん
角川書店 (2005/05/25)


面白くないわけじゃ、ないんだが。
そう、面白くないわけじゃないんだけど、言ってしまえばいささか設定が陳腐。でも文章が綺麗で品があって、舞台である「田舎」や独特の「風習」が鮮やかに描写されていて、読んでいてそれは気持ち良かったのだけどなあ。

でもあえて、ド田舎出身の私に言わせてもらえば、こんな少人数の集落に美少女や美青年はいないね。もちろん物語だからそういう人物がいても良いし、というかいないと話が始まらなかったりするんだけど、どうして小説の中の田舎には「少々古風ながらも美しい少女」や「中世的な美青年」ばかりが登場するのかと思いましてね。私の僻みもあってつい文句を言いたくなる。別にこの小説を特定して言いたいわけではないのだけど、たまたま今レビュー書いてるから白羽の矢が立っただけなのですみません。
本当の田舎には、「少々古風どころか相当古風で古いだけの少女(それは私だ)」とか「青年をすっ飛ばして少年からいきなりおっさん」な男性が多くいたりするんですよ。

まあそれは私の村の話だからどうでも良いのですが。

物語自体は、冒頭でも書いたように面白くないわけじゃない。でも、ありがち〜なんだよな。特にこの小説に突出した個性があるわけでもなく(失礼)、文章の上手さでスラスラ読めてしまうけれど、「どっかで読んだような話だなあ」という読後感が拭えません。そしてちょっとスッキリしない終わり方もあって、なんか恩田陸の『六番目の小夜子』に似てるんだよなあ(この不スッキリ感が)。『月魚』が非常に良かっただけに、ちょっと物足りなく感じてしまったのでした。
| 三浦しをん | 00:32 | comments(0) | trackbacks(0) |
プレーンソング
プレーンソングの表紙
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著者:保坂 和志
中央公論新社 (2000/05)


率直な感想は、タイトルに偽り無し。本当に何も無い、プレーンな物語。
無いなあ、偽り、本当に。もう少し偽ってくれても良さそうなものでしたが。
文体は好みがあるから一概に言えないのかもしれないが、一文が数行に渡る長さなんてのがザラで、私にとってこれは悪文以外の何ものでもない。しかもだ。「○○だと思ったら、実は△△で、それはとっても□□だったから、僕は嬉しくなって◇◇だったら良いなあと思った」みたいな、最後まで読んでみないと何が言いたいのかさっぱりわからない文が満載。いくら一人称小説と言っても、これじゃ主人公の頭が悪そうに見える。
この本を読んでいる間、私の頭の中にはかの歌がずーっと流れていた。

“もう恋なんてしないなんて〜言わないよ絶対〜”

この歌も、「一体どっちなんだ!?」と突っ込みたい歌ナンバー1を誇っているがそれに負けてない。そうか、プレーンソングって、この曲のことだったのか…(違う)。

メリハリも無い。起承転結もない。何が言いたいのかわからない。でも人によってはこの小説の何も無さに、心地良さや癒しを感じるのかもしれない。

でも。私には駄目だった。

この物語を記すのにこんな紙数を費やさなくても良い。ただ一言、「いろいろあった」。それだけでこの小説のあらすじは完成する。
| 保坂和志 | 23:13 | comments(0) | trackbacks(0) |
月魚
月魚の表紙
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著者:三浦 しをん
角川書店 (2004/05)


今をときめく三浦しをん。彼女、私と一つしか年が違わない。しかしこの文章の老練さはどうだ。とても若い人間が書いたとは思えない。色鮮やかで描写が美しく、脳内に一つ一つの場面が映画のように浮かび上がる。とにかく絵にしやすい文章なのだ。
私はミステリ好きなわりには空間処理能力に乏しいので、ちょっと凝った密室トリックなんかをやられると絵が想像できなくて四苦八苦したりする。だからどうしても頭に描く映像は「ヨリ」のものが多くなってしまうのだが、この小説は「引き」の絵で素晴らしい色彩を展開することができた。透明感があり、若山牧水の歌を詠んでるみたいな感じ。
でも、「あ、やっぱりこの人若い女性なんだなあ」と読みながら感じる箇所も多々ある。

だってこの小説、ホモっぽい。

ホモっていうと生々しいが(その手のボーイズラブ系な描写は全く無い)、大正時代、乙女同士が「エス」の関係とか言って恋に近い感覚を抱いていたことがあったように、この小説の主人公である青年二人はお互いを想いあっている。
そしてそんな主人公を、作者はとても好きなんである(たぶん)。上手く言えないが、自分の作った登場人物に度々ハートマークの視線を飛ばしているような描写があり、何となく自分が同人誌を作っていたあの頃の空気を思い出してしまうのである。もちろん文章が綺麗で品があるので、それもまた良しなのだが・・・というか、私が勝手にそう感じてんだろうなってのはわかっているのだけど、私のあの、同人誌時代の、甘いというより苦く、楽しいというよりも恥ずかしい、やるせな〜い青春が、何度嚥下してもこみ上げてくるので時々胸焼けがするのでした。
でも、とっても良い本です(何このフォロー)。
| 三浦しをん | 15:38 | comments(0) | trackbacks(0) |
華麗なる一族
華麗なる一族〈上〉の表紙
posted with ALM
著者:山崎 豊子
新潮社 (1970/05)


ドラマ化で話題になっていたので読んでみた。
まあ、あのドラマで何が一番衝撃だったかってやはり「華麗パン」ではないでしょうか。あの重厚な物語をいっきにヘリウムガスよりライトにしてしまう駄洒落の破壊力。
「何でもかんでも乗っかりゃ良いってもんじゃない・・・」という典型的な例として後世まで語り継がれるエピソードでしょう。
それにしても毎度のことながら、山崎豊子のネーミングセンスは凄いね。いったいどこまで本気で考えてつけてるんだろうか。
万俵鉄平。
すごすぎる。しかし小説よりもやはりドラマの方が名前に違和感ありますよね。なにせ音でダイレクトにその間抜けさが伝わりますからね。鉄平はまだ良い。銀平て。しかも小説の中では、鉄平の祖父が「本当なら金平と名づけたかった」とか言っている描写もあって鳥肌が立ちました。鉄平の人生があれ以上悪くならないためにも、その名前だけは避けて正解。
ドラマ(たった2回しか見てないですけど)では銀平役の山本耕二くんがあまりに良かったからキムタクの浮きまくった演技はもうどうでも良いんですが、やっぱり小説よりも良い話に仕上げてましたね。個人的には小説通りにキャラクター作りしてほしかった。出てくる人間、ほとんどヤな奴!! だけどドラマでは、「こんな嫌な性格になってしまったのも、いろいろ事情があるわけよ・・・」みたいな背景が描かれていて見ている側はちょっとクールダウンでした。
さて小説ですけど。この万俵頭取、悪い奴ですなー。もう全く救いがないくらい悪い奴。同じ悪い奴でも『白い巨塔』の財前五郎はとっても格好良かったのに、こいつはただ憎たらしいだけの悪役。だから感情移入しづらく、読むのも正直辛かった。でも山崎豊子はそれでも読ませる。やはり脇に物語を支えるキャラクターを配置しているし(しかし悪人か善人か、二つに一つの極端な人間多し)、何よりストーリーが重厚でドラマティック!
冒頭とラストの食事のシーン。リンクのさせ方が秀逸だと思いました。
それぞれの食事シーンが、これからの万俵一族の行く末を暗に示していて、その対比が見事かと。
| 山崎豊子 | 09:34 | comments(0) | trackbacks(78) |
どきどきフェノメノン


水谷くんが持っていた人形は、私も持っているアレか。
読んでいてそこが一番「ああ!」とスッキリした瞬間。あとはなんかもうモヤモヤ。だいたい、ノベルスが出たばかりの頃に購入して今日やっと読み終えたということからも、私がこの本を読むのに結構労力を要したことをお察し願いたい。
そこまで無理して読むこと無いんだけどさ、でも大好きな森博嗣の小説なんですもの。それだけで意地で読み通した。

でもねえ。ミステリ&ラブ・ストーリーかぁ。ミステリは一体どこいらへんが? 確かにミステリっぽい箇所はあったものの、結構投げっぱなしジャーマンなエピソードもあってちょっと・・・いや、かなり消化不良だったりする。それにラブストーリーとして読んでもなんか弱い。正直佳奈がそこまでモテる女性とも思えないし、「理系の大学はやっぱり女子学生が少ないのかなあ」なんてそんな邪推までしてしまう。そして、そんな邪推をしなければ読めないようなものって、もはやラブストーリーとして成立しないのではないかと思う。
佳奈の妄想部分は森氏お得意の言葉遊びがたくさんあって、それは読んでいて楽しいのだけどいかんせん冗長で辛かったりするしなあ。森風ラブストーリーがこれなのかなあ。どきどきできなかった。どきどきフェノメノンなのに。でもそれは、恋愛というものに対してイマイチ淡白な自分にも責任があるんかもしれん。
| 森博嗣 | 15:31 | comments(0) | trackbacks(1) |